理事長室

猫の幸せ

  • 2021.4.19
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 毎朝、職場の入口付近にお出迎えをするように猫が座っています。理事長室の前の空き地には居心地がいいのか5,6匹がのんびりと仲良く昼寝をしています。
 昨年から財団の敷地内に野良猫がいつくようになっていました。周辺に人家はなく、もともとは団地の隣接する震災仮設住宅から流れてきたものと推測されます。確証はありませんが、人に慣れた猫もいるので、少なくとも人との接触はあったようです。
 エサをやると住み着いてしまうので、やらないように言っていたのですが、お腹がすくとひっきりなしに悲痛に鳴きます。これが数匹になると、やかましく気になって仕方ありません。かわいそうに思った職員がときどき餌をやっていたようです。腹が満ちるとおとなしくなります。しかし一時のがれに過ぎません。一番大きな問題は繁殖だな。と思っていた最中、とうとう子猫が生まれてしまいました。しかも3匹です。管理者として放置できない状況になってきました。

 ところがそれ以降、昼休みになると猫見たさに、女子職員を中心に見学者が絶えないようになりました。子猫たちがじゃれまわっている姿は本当にかわいいのです。コロナで暗くなりがちな状況で、明らかに子猫達の存在は「安らぎ」になっていました。
 熊本県では殺処分ゼロを掲げています。ひと昔前なら、保健所から捕まえに来て殺処分されていたのでしょう。今の対処法は、何もせず、餌をやらなければ、どこかに行くでしょうということです。ただ、どこかに行くとは天国を含めてです。体力のない子猫たちにとっては自然に餓死するのを待つということに他なりません。仕事の場で猫の世話など関係ないと割り切れば何の問題もありませんが、ドライに割り切れませんし、子猫の引き取り先も容易に見つかりません。総務課の職員にどうしたらいいか話し合ってもらいましたが、なかなか名案は出てきません。結局、限られた選択肢の中に、地域猫活動というものがあるのを知り、それに取り組んでみることになりました。
 ペットとして飼うわけではありませんが、餌やりなど最低限度の管理を地域社会が行うというものです。最大の課題は繁殖をどのように抑えるかです。これには避妊去勢手術を行うのがセットになりますが、金銭面の負担が問題です。県の補助制度があるそうですが、予算は潤沢ではないようです。NPO団体で低価格でやってくれるところがあり、お願いすることになりました。猫の捕獲から指導してくれるので、有難い存在です。
 必要な資金はカンパを募りました。現在まで8匹の猫が手術済みです。猫にとっては迷惑な話です。猫に人権があって裁判でも起こされたら絶対負けるでしょうが、現実的に生まれてきた命を全うすることを考えるなら、次善の策と思います。放置すれば、野良猫があふれる状態になります。無責任な行為には厳罰化が必要でしょう。
 不幸な猫を増やさないため、なんとか走り出した取組ですが、飼い主の皆様には猫の一生に責任をもって最後まで飼っていただくよう、どうしても飼えなくなった時には新しい飼い主を探していただくよう、改めてお願いさせていただきます。
 たまたま見ていた雑誌に猫の特集があり、屈託のない顔で寝そべっている写真の横のコピーに目が留まりました。「猫が幸せならば、人も幸せ」