理事長室

熊本県出身のお笑い芸人が多いのはナゼか

  • 2021.1.11
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 今年の大みそかも紅白歌合戦を見てしまいました。総合司会は人吉出身の「ウッチャン」です。親の間の有名なお笑い芸人の一人ですが、正直言って、群雄割拠のお笑い芸人の頂点に立っているわけではありません。なぜ、お笑いの聖地である大阪芸人を抑えて紅白の司会をここ数年間、任されているのでしょうか。「NHKの番組で貢献している。」「九州豪雨に配慮した」「人柄がいい」などとも言われていますが、一番評価されている点は、自分のキャラを出しすぎて、出しゃばらない点ではないかと思います。紅白にとっては出演者の歌手一人一人が主役なのですから、当然の配慮ではあります。
 偶然かもしれませんが、人吉に地盤のある高橋酒造のコマーシャル戦略と似ているのでご紹介します。主力商品は球磨焼酎のしろです。以前「主役を食うなよ。」というコマーシャルをやっていました。高橋社長に聞いたところでは、焼酎業界を席捲している芋焼酎を意識して、イモの香が特徴のある薩摩焼酎と違って、米で癖のない球磨焼酎は料理を大事にすることを表現したかったということです。つまり、食事のお伴の酒は球磨焼酎が一番いいという主張です。
 ところで、熊本県出身のお笑い芸人は結構多いのです。敬称略でご紹介しますと、大御所の財津一郎から、井手らっきょう、コロッケ、クリームシチュー、ひろし、若手のからし蓮根まで連綿と続いています。俗に県民性が言われますが、お笑い芸人になりやすい要素があるのでしょうか。陽気な性格は九州人の一般的な特質ですが、特に熊本気質で代表的なのは「もっこす」と「わさもん」です。一見してお笑い芸人に合いそうもないと思いますが・・・。少し強引ですが、笑われても恥じないというか、笑われても意に介さないという意味では、「もっこす」「わさもん」は性格的に相性がいいのかもしれません。

 実は私は一つの仮説を立てています。「熊本出身の笑い芸人が有利な点は、熊本人の印象が田舎者ということにある。」という説です。漫才はボケと突っ込みの二人で掛け合うのがスタンダードな形です。馬鹿なことをして笑われるのがボケ担当ですが、このボケには田舎者はすごく相性がいいのです。お笑い芸人が笑いを獲るという意味では、すでに田舎者と思われること自体、スタートラインで頭一つ抜け出しているのです。
 冒頭紹介した「ウッチャン」もお笑い界ではかなりの大御所になったと思いますが、特に都会色に染まらないというか、田舎者の風情はそのまま残しています。紅白歌合戦の視聴者は全国各地津々浦々です。そこでは田舎者が共感できる演出が大事になります。きれいな標準語を話すことが使命であるNHKアナウンサーには表現できない温かみが必要なのです。
 田舎侍と誹謗されて、刀を抜いたが忠臣蔵の浅野内匠頭です。一般的に田舎者と言われるのは恥ずかしいことです。しかし、大方の熊本人は恥ずかしいことと思っておらず、田舎者感を全開にしています。これは皮肉ではなく、熊本人の長所です。そしてこれがお笑い芸人を輩出する大きな要因になっていると思うのです。
 では、いつから熊本人は日本を代表する田舎者になったのか。熊本と田舎者の相関関係について、これから少し深堀してみたいと思います。