理事長室

ゴジラは二足歩行

  • 2021.3.8
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 私の世代はリアルに怪獣映画と親しんできました。代表的な怪獣がゴジラです。ゴジラは南太平洋に眠っていた古生代の怪獣が水爆実験によって突然変異し、原子力をエネルギー源とする怪獣を出現されたという現代の不条理を風刺したような設定ですが、内容は完全にお子様専用の映画です。ただ、段々と作品の質を上げて、現在もリメイクされています。ところで、ゴジラは二足歩行をしています。
 ゴジラが日本の街に上陸し、街を壊すシーンが売りの一つで、主要都市はゴジラから壊されています。映像は特撮です。特撮監督はウルトラマンで有名な円谷さんでしたが、ディーテールにこだわる方でした。ゴジラの歩き方にも相当のこだわりがあったようで、初代のゴジラ俳優の中島春雄氏によると相当悩みながら、重厚感のあるゆっくりとした動きを完成させたそうです。ただ、当時の着ぐるみの重量が重すぎて、ゆっくりしか動けなかった事情もあったそうです。新作のシンゴジラではCGで動かしていますが、動作は狂言の野村萬斎氏の動きをトレースしたようで、今も相当にこだわっています。
 さて、なぜゴジラが二足歩行しているのかは単純な理由で、モデルになった恐竜、ティラノサウルスが二足歩行だったからです。ティラノサウルスは6500年前まで恐竜時代に生態系の一番上に君臨していた肉食恐竜で、全長15m、重さは9トンと推定されています。最大の武器は驚異的な咬合力で、大きく開く口には牙のような歯が並んでいます。これで大型の草食恐竜の骨をバリバリとかみ砕いていきます。完全な全身化石は世界で7体しかなく、詳しい生態は判っていませんが、たぶん地上に現れた生き物の中で最強だと思います。
 ただ、巨体を支える野太い後ろ足や大きな頭部の圧倒的な存在感に比較して、前足が華奢なのは、不可解です。むしろ退化して、上腕が肘の部分まで腕にめり込んでいるように思えます。空手、ボクシングでは威力のあるパンチは上腕の筋肉を使って振りかぶる反発力とスピードを打撃点に集中することですが、この骨格では猫パンチしか打てません。
 進化の法則性に沿って、曲がりなりにも、論理的に推論してきたつもりですが、ティラノサウルスが二足歩行をする理由はうまく当てはまりません。
 鳥類は、羽根を得るため、前脚を犠牲にしました。霊長類は足という機能を手に変えて森の暮らしに適応しました。その後、環境の変化で森が草原に変わったことを契機に、人類は一旦「手」に変えた後脚の機能を「足」に戻しました。色々とありますが、共通しているのは、いずれも飛車角交換です。ティラノサウルスの場合は、頭部が大きくなりすぎたバランス上、前脚が小さくなったという説もあるようですが、飛車と歩の交換のように思えます。どう見ても駒損で、納得しかねます。
 「巣に戻って、前脚の鍵爪でスマホを叩いていた」冗談が言いたくなるくらいです。結局のところ、前脚をどのように活用していたかが解明のカギになると思います。ティラノサウルスは注目度が高く、研究者も多いので新説もどんどん出ているようです。羽毛があった。視覚聴覚嗅覚が発達し知能も高かった。仲間で共同して狩りを行っていた。グルメで尿酸値が高く痛風だったのではないか。大きな骨折の治癒痕があり、動けなくとも、食料をもらえるような扶助の習性があったのではないかというような新説も出ているようです。今後の研究に期待したいと思います。
 突然変異はDNAのコピーミスのようなものです。地層や土質によって、がけ崩れを起こしやすい地形とそうでないところがあるように、突然変異を起こしやすい部位があるようです。陸上の脊椎動物は元が魚ですから、四肢に変異が出やすく、特に鳥類や霊長類にその傾向が顕著だという推論は成立しそうです。恐竜の仲間でも獣脚類に属するティラノサウルスは鳥類に近い系統ということで、前脚の変異が起こりやすい種だったのかもしれません。
 新型コロナウィルスの由来は、武漢の市場ではコーモリを扱っていたとか。研究所でコーモリの遺伝子操作をしていたとか、様々な噂がありますが、コーモリも獣か鳥が良くわからない、比較的進化前の形状が残っている生き物なので、DNAレベルで人類に同化しやすい属性を持っていたのかもしれません。ただ、あまり確証のないことを言うと中国旅行が出来なくなるなので、ここらで止めておきます。