理事長室

アメリカ大統領選

  • 2020.11.30
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 今回のアメリカ大統領選挙はアメリカという国を理解する意味でも大変に興味深い出来事でした。
 州単位で票をまとめる投票スタイルは、アメリカ独立当時からの国の成り立ちに根付いており、全米各地で展開された選挙運動からは、自らの代表を自分たちが作るという民主主義の原点が生きているように感じました。
 確かにアメリカ国民を真っ二つにした分断は深刻なものです。結局7000万人以上の人々がトランプ大統領の4年を肯定し支持しました。国民の不満は根深く広がっています。「どうして遠い中東まで行ってアメリカの若者が血を流さねばならないのか」「外国のために駐留している経費を我々が出すにはおかしい」「工場が外国に出て行って国内の雇用が消えた。」「アメリカに安い製品を売って儲けている国は、アメリカにその対価を払うべきだ」「甘い移民政策がアメリカ国内の治安を悪化させている」矢継ぎ早に言い放たれるトランプ発言は今でも国民の本音をくすぐるものです。こうした問題を特定の国や人のせいにして、強面に交渉しそこから譲歩を引き出し、自らの手柄にする手法が長く続くとは思いませんが、逆にいずれの主張も簡単には克服できず、国内の不満は残存しています。トランプ大統領は負けを認めておらず、今後もまだ色々あり、混迷はしばらく続きそうです。

 今回のドタバタ劇で、アメリカという国を本当に信頼していいのだろうか。と誰しも感じたと思います。世論調査では、アメリカと友好関係にある諸外国のアメリカへのイメージや親近感は大きく棄損したようです。民主主義の先生という立場から見れば、ずいぶんと国際的な評価を落としたことは否めません。
 しかし、これがアメリカらしいとも言えます。言いたいことはあくまでも主張するアメリカのスタイルは、大統領選でも貫かれました。そして次期の政権を誰にするかという決定権は国民にあるのです。結局、バイデン氏が次期アメリカ大統領として勝利演説し、国民の融和を訴えました。その姿は「あなたの国があなたに何を出来るかを問うのではなく、あなたがあなたの国に何を出来るかを問って欲しい」と言ったケネディー大統領の就任演説に私には重なって見えました。アメリカは振り子のように揺れながら、なかなか倒れない。その強さを改めて示したようにも思います。