理事長室

「鳥は飛んでいる時、楽しいのか。」

  • 2020.6.29
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 トンビが気持ちよさそうに大空を舞っています。「鳥は飛んでいる時、楽しいのだろうか」子供のころ、そんな疑問を持っていたのですが、今でも疑問のままで、明確な答えが判りません。
 実際に鳥の頭に脳波装置を付けて、ドーパミンが出ているか想定すれば測定すれば、あるいは科学的に立証できるかもしれませんが、そんな馬鹿な実験をする学者はいそうにありません。
 実は、飛ぶのが嫌な鳥もいるに違いないと思っています。物体が空を飛ぶのは、引力に逆らった異常なことです。羽を振るのは肉体的に相当しんどい行為だと思います。さらに危険です。道を歩いてこけても、膝をすりむくくらいですが、上空から落下すれば、命に関わります。雨が降れば最悪の環境です。まさに3Kです。
 ではなぜ鳥は空を飛ぶのでしょうか。必要性から言えば3パターンあります。まず、天敵から逃げる場合です。最強な天敵でも、まず空に逃れれば安心です。鳥類が繁栄しているのはこの機能が大きいと思います。
 次に餌を捕獲するため、狩りのために飛ぶ場合です。これは肉食の猛禽類などレアケースでしょう。最後は、移動のためです。渡り鳥のように数千キロを飛ぶ鳥もいれば、ねぐらから餌場の短距離を往復する鳥もいます。大部分はこのパターンだと思います。
 問題はこれ以外の要件で、「暇だから飛んでいる」とか、「ともかく飛ぶのが楽しいから、飛んでいる」という鳥がいるかということです。これは想像の世界になります。私は鳥が空を飛ぶことは、人が働くことに近いのではないかと考えています。「だって、働かないと食っていけないのだから、仕方がないじゃないか。休めれば休みたいけどさ。」これが本音だと思います。動物好きだった志村けんさんに聞いたら、カラスの勝手でしょ。と言われそうですが・・・。
 何度も言いますが、飛ぶという行為は大変なことです。生まれてすぐに飛んでいるような生物はいません。昆虫も羽根を持っており、飛びますが、変態を繰り返し、最終の成虫段階で初めて飛ぶ能力が生まれます。では、鳥はどのようにこの課題を克服したのでしょうか。私は愛の力だと思います。
 ライオンのように強い雄が独り占めはしません。たいていの場合ツガイで恋愛結婚です。白鳥は羽根を広げてダンスのような仕草で求愛します。雌は何を判断基準に相手を選ぶのでしょうか。見た目のきれいさでしょうか。確かに健康状態のいい方がいい遺伝子と持っているようです。私は意外と本気度を見ているのではないかと思います。一生懸命に踊っている彼はイクメンだろうかということです。
 ウミガメは砂浜を掘って卵を産み付けます。卵からかえった亀は小さいながら、すでに立派に一人前で、海に帰っていきます。歩くことも泳ぐことも、誰に教えてもらうわけもなく、身についた本能です。これに比べて、鳥のヒナたちはあまりにも非力です。高い木上に作られた安全な巣の中で、ピーピーと口を開けて、親鳥から餌を要求するくらいしかできません。飛ぶためには、まず丈夫な体に羽根を動かす筋肉が必要です。そこは親の役割です。ツガイの親鳥は巣を作り、卵を温め、ヒナの餌取りに必死に育児します。
 この無垢な行為は愛としか表現できません。そして、何よりも、親鳥にとって、子育ては楽しい事に違いありません。同時に愛情で育てられているヒナにとって、親鳥はスーパーマンみたいな存在です。「大きくなったら、僕も空を飛ぶんだ。」そう思って大きくなっているでしょう。親子にとって、飛ぶことは共通の目標です。この目標が達成された時の気持ちは、我が子が初めて歩いた時、学校を卒業した時に近いと思います。親子双方にとって、うれしい時、楽しい時でしょう。
 この気持ちが、長続きするかは個体差があると思います。現在、コロナの影響で、自宅待機が増えています。のんきなサラリーマンの中には喜んでいる人もいると思いますが、元気で働けることが一番だと痛感された方が多いのではないでしょうか。
 さて、鳥は飛んでいる時に楽しいのか。という問いへの答えです。「楽しい鳥もいれば、楽しくない鳥もいる。飛んでいて楽しい時もあれば、楽しくない時もある。」
 今回も滑ってしまったようです。しかし、飛ぶことを楽しいと感じている鳥の方が幸せな人生(正しくは鳥生)を送っているのは間違いないと思います。